<健康コラム 4>
「痛風」
「足が痛いんです」、ということで来院され、症状をお聞きして、「あれ?」と思い、病院に照会して血液検査をしてみると、やっぱり痛風だった、ということがあります。 今回は、痛風についてのお話です。 痛風は、英語では「Gout(ギャウトと発音します)」と呼ばれます。症状は、なられたことがある方はお分かりだと思いますが、最初、ちょっとズキズキするなあ、という症状から始まり、2、3日後には、文字通り、「風がちょっと触れただけでも痛い」ぐらい軽いタッチでも激痛が走るほどに達し、徐々にその痛みは消えていきます。痛い箇所が熱や赤みを帯びている、特に打った・ひねった等の外傷の記憶がない、というのも特徴で、一番、症状が出やすい場所は、足の親指の関節、他に膝・肘・肩などにも見られるようです。痛風になられる方は男性が多いようですが、更年期を過ぎた女性にも見られることがあります。 痛風の原因は、完全に解明されている訳ではないようで、一般的には、尿酸(uric acid)という物質が分解されずに体内に残ったものが結晶となり、関節に蓄積することによって痛みを起こすと言われています。血液検査をするときには、このuric acidの値に注目して下さい。尿酸がたまる原因は、アルコールの取りすぎ、高カロリー食、肥満、そしてストレス等と言われています。水分を十分こまめにとることも大切です。 私達は、乾燥の地、ラスベガスに住んでいますので、この点は十分気をつけたいですね。また、痛風を放置しておくと、尿酸が腎臓にも蓄積することがあり、腎臓の機能に支障をきたしてきますので、医師にご相談ください。 12/15/11 「呼吸法」
呼吸法って意識されたことがあるでしょうか? 日本人に多いのが、『呼吸が浅いタイプ』と『肩であげて呼吸されるタイプ』なんだそうです。 コンピューターワークなどをしていると、熱中してついつい呼吸が浅くなってしまうことがあります。酸素が不足すると、仕事の能率が落ちるばかりか、筋肉中の老廃物が滞り、肩こり・疲労の原因になってしまいます。 また、話をしながら肩をあげて呼吸をすることが多い方は、胸鎖乳突筋や斜角筋といった、首から肩につながる筋肉群が発達していることが多いのが特徴です。肩呼吸が多いと、摂取する酸素は多くても、吐き出すことが少なく、肺に溜まった二酸化炭素を十分吐き出せないままになってしまいます。 ヨガやピラテス、太極拳や気功のクラスでも、必ず教えられるのが呼吸法です。胸呼吸だったり腹式呼吸だったりしますが、いずれも体全体に酸素が行き渡るような、深い呼吸法です。医学的にみても、深く呼吸をすることは、体に蓄積された二酸化炭素を体外に排出し、新しい酸素を体に摂取することになりますから、細胞の活性化になり、細胞の酸化の予防にもつながるのです。 自分の呼吸法をチェックするには、胸とお腹に手を当てて、大きく息を吸ってみてください。もし、息を吸い込んだとき、胸の方が膨らんだら、あなたは肩呼吸をなさっています。お腹を膨らますことが出来ない方は、何回か練習してみてくださいね。 11/5/11 「骨棘」
背骨のズレは、長年放置しておくとどのような影響があるでしょうか? 例えば、均等に荷物が詰められていないダンボールを積み上げて放置しておくと、下の方のダンボールは傾いて角が押しつぶされ尖ったような状態になってきますね。 それと同じようなことが背骨にも起こってくるのです。 歪みが生じると、当然、背骨の片方のどちらかに重みがかかってしまいます。宇宙飛行士さんが重力のない宇宙に行っている間に、筋力が落ちるばかりか骨の密度も失ってしまいますが、反対に骨というのは重みが掛かれば掛かるほど、その部分にもっと骨を形成するようになっているのです。 これが、「骨棘」と呼ばれるもので、加齢と共に多くの方がある程度の「骨棘」を形成してしまいますが、姿勢や動きのパターンで骨の並びに歪みが出たり、交通事故・スポーツ障害などによって、ズレが生じると骨棘の形成は進みます。重度の場合には上下の「骨棘」が結びついて、背骨同士がくっついてしまう、という現象もあります。 こうなってしまった場合には、痛みも伴いますし体の動きも随分と制限されてしまいます。 ただ、背骨・骨盤は、歯のようにレントゲンなしでは目に見えることはありませんし、よっぽどの湾曲症がない限りは肉眼では分かりにくく、普段は洋服を着ているので気にすることもありませんね。骨棘は、一日や二日で形成されるものではなく、長いことかかって形成されるものです。正しい姿勢、そして自分の動きの癖などを早めに理解することによって、骨棘の形成を防ぎましょう。 9/14/11 「足の指、開きますか?」 突然、突拍子もないタイトルですが、足の指、5本ともしっかり開くことは出来ますか? 普段靴を履いている私達はなかなか足の指を開くための筋肉を意識して使うことなく過ごしてしまい退化してしまうことが多いのです。 ところが、この筋肉たちは、歩いたり走ったりするときに、地面をしっかり掴んで蹴り出したり、バランスを取ったりするのに、とても重要な筋肉なんです。 どんなスポーツをする上でもバランスを取る為に重要な筋肉群ですが、特に競技スポーツをしない私達にも欠かすことが出来ません。 それは、バランスを司る大切な部分だからなんです。高齢になってバランスを失って転倒、骨折、というお話を耳にします。 老化により他のいろいろな原因もありますが、足の裏の筋肉が退化して地面をしっかり掴む能力が衰えるとともに、腱の中に存在するバランスを察知する能力が衰えることも転倒の大きな原因となります。長いこと意識して使っていないと最初は難しいかもしれませんが、訓練しだいで必ずある程度のレベルまでは動くようになります。 寝る前に一日数回、足の指も使ってあげるように心がけてみてください。 8/6/11 |
「恥骨の痛み」 股関節の痛みと同時によく耳にするのが、恥骨の痛みです。 歩くときや、寝た状態から起き上がる際に痛みを覚えることが多いようです。左右の恥骨は丁度体の中心部で、「恥骨結合」という軟骨で繋がれており、丁度おへそから真っ直ぐ下りてきたところに当たります。 左右から恥骨を触ってみて真ん中部分で軽く窪んでいるように感じられるのが、恥骨結合です。 私達が歩いたり走ったりするときは、この恥骨結合を軸にするような感じで左右の骨盤が交互に前後して前進します。 よって、骨盤に大きくズレのある場合は恥骨結合に歪みが生じて痛みを起こします。 軸がねじられるような感じですね。 時には恥骨結合が離開し、少し動くだけでも痛みを起こすこともあります。 妊娠している女性は出産に備える為、恥骨結合を繋ぐ靭帯を柔らかくするホルモンが分泌され恥骨・骨盤がズレを起こしやすくなり、そのまま産後を過ごすと痛みの原因となります。 また、腹筋は恥骨部分付着する為、腹筋があまりにも強くなりすぎたり、妊娠後期に腹筋が引っ張られた状態になると、恥骨に痛みを起こしたり離開を起こすケースもあるので、ご注意下さい。 7-2-11 |
「股関節の痛み」 長時間立ったり歩いたりして股関節が痛くなったり、あぐらをかくような姿勢になった時に、足が左右不均等な状態になっていることに気付かれた方はいらっしゃいますか? 一口に股関節の痛みと言っても、いろいろな原因があります。 1)股関節の軟骨が磨り減ることにより関節が狭くなり、骨に圧力かかる 2)股関節付近に出来た腫瘍 3)骨の形が変わってしまう変形性股関節症 4)急激に股関節を使う運動をしたりすることに起こる炎症 5)骨盤のズレ 6)妊娠・出産によって生じる骨盤・股関節のズレ 他にも様々な原因はありますが、上記が一般的な痛みの原因と言えるでしょう。 2)はもちろんのこと、1)、3)は、手術により治療を要することが多くなります。 これらは、レントゲン・MRIを撮ることにより、診断されなけばなりません。 また、膠原病等の治療に使われるステロイド治療が長期化した場合の副作用として、2)が引き起こされることも知られています。 1)~3)のような深刻な場合を除いては、早期に骨盤・股関節のズレを発見して、ストレッチ・矯正・筋力強化等を行っていけば治療は十分可能です。 あぐらをかいて左右が対象でない場合は、骨盤のズレや股関節の回りの筋肉や腱・靭帯が固くなって起こることがほとんどですので、原因を突き止めることが重要になってきます。 度々こちらに書かせて頂きましたが、妊娠によって、かなり骨盤や恥骨結合がズレことが多いため、出産後に股関節の痛みを訴える女性は少なくありませんが、正しく治療を行えば回復可能です。 ただ、子供さんが長期、股関節の痛みを訴える場合は、成長期による痛みのほかに、化膿・骨腫瘍・ペルテス病・大腿骨頭すべり症、という場合もありますので注意を払わなければなりません。 子供さんの訴えにしっかり耳を傾けてあげてくださいね。 4-19-11 |
「足がつる!!」 運動中や就寝時、妊婦さんが足がつりやすかったりするのは、どうしてでしょうか? 足のつりは、「筋肉を収縮させよう!」 という自己意志のないままに、脳から筋肉収縮信号が送られて起こります。 特に、1)筋肉疲労時、2)水分不足時 3)電解質(カルシウム・ナトリウム・マグネシウム等)不足の時はその頻度が高まります。 電解質は神経伝達を助け、収縮された筋肉繊維を解除する役割がありますから、欠かせない栄養群です。 就寝時に足がつる原因は詳しくは解明されてないようですが、有力説は寝ている時に呼吸が浅くなる為、十分な酸素が行き渡らない、又は起きている時は、脳からの筋肉収縮の信号をある程度コントロール出来るが、就寝中はその機能を果たす部分の脳も寝ている為、足がつる、などがあるようです。 妊婦さんも赤ちゃんに栄養が取られる為、電解質が不足したり、体重が増えることによって足に負担がかかってしまい、足がつりやすくなるようです。 運動不足の方も、少し動くと筋肉が異常な興奮状態になってしまって、足がつる傾向にありますので、普段からしっかりストレッチと局部的なマッサージを心がけて下さい。 2-15-11 |
「バランス」 若いうちは比較的誰でも運動をしますが、大人になると進んでいくうちに仕事や家庭での忙しさに流されてしまって、自分を奮い立たせないとなかなか体を動かすことを日課付けることは難しいですね。 でも、60代以降をいかに健康な体を維持しつつ、楽しく人生を送っていくかの一つは、筋力や関節可動粋が顕著に落ち始める40代以降から、いかに定期的に自分をケアしてきたかにかかってきます。 さて、若く健康な方の歩き方と、70代の方の歩き方では明らかな違いがありますね。 生体力学観点から見て大きな違いの一つは、足首、膝、股関節の関節の動き(関節可動粋)の違いなんです。 (足首の関節だけに着目すると)若く健康な方の場合は歩く時、後ろにきている足は、足首の関節を使いしっかり地面を蹴ってから、足を地面から上げ、その足を前に持ってくる最中につま先を上気味に持ち上げてから、かかとから地面につきますね。 年と共に関節の動きが狭くなってきたり、筋力低下により足を持ち上げることが出来なったりして、この一連の動きが小さくなって、だんだんと地面を擦るような動きになってきてしまいます。 また、足首・膝・股関節の中には、バランス感覚を司る神経が分散されていて、年齢と共にこの神経も鈍くなってきて、転倒の原因にもなります。 シニアセンター等でよく音楽に合わせて、足首や、膝、股関節に集中したエクササイズをしているのを見かけますが、いつまでも健康に自分の足で歩けることを保つには、とても大切なことだと思います。 やはり、「使わない」ということが、一番老いを促進させてしまうのです。 いくら、若い頃に運動していたからと言っても、重力と共に筋力は落ちるばかりです。 いつからでも遅くなりません。 自分で楽しみながら、細く長く続けられることを見つけてみませんか? 1-11 |
「妊娠と骨盤」 出産を機に股関節や骨盤に痛みを覚えるようになった、という女性の方、多いのではないでしょうか? 長い間、自分の体重以外のものをお腹に抱えている訳ですから、ズレが生じてくるもの当然です。 また、出産が近くなると、お産がしやすいように、女性の体からは特別なホルモンが分泌され恥骨結合といわれる、股関節や骨盤と大きく関係する関節をやわらかくするといわれています。 産後このホルモンの分泌は減少し、元の関節の固さに戻ってしまいますが、ズレたまま固まってしまうと激しい痛みを伴ってしまう場合があります。 また、この恥骨結合は、『骨盤底筋群』と言われる、云わば骨盤の床・そして膣を囲む筋肉の付着地点でもありますので、そのズレは産後の尿漏れなどにもつながっていきます。 さて、これからの症状を予防するにはどうしたらようでしょうか? 安定期に入ってから出産するまでに間に、刺激が強すぎない程度に軽いマッサージで筋肉の固さが均等になるようにほぐしておくこと、しっかりとしたマタニティーの知識のある指導者の元で軽く骨盤体操などをしておくことによって、のちに大きな差が出てきます。 *施術や体操を行う場合は、必ず事前に主治医にご相談ください。 11-10 |
「イブプロフェン Ibuprofen」 日本ではEveでおなじみのイブプロフェン。 アメリカではAdvil、Motrin、Genpril、Ibu、Nuprinなどの商品名で売られています。英語ではアイブプロフェンと発音します。 (効能)解熱、鎮痛(頭痛、歯痛、腰痛、関節の痛み、生理痛など) (副作用)アレルギー反応(発疹、呼吸困難、顔・舌・唇が腫れるなど)が起きた場合は直ちにERに行くなど医師に診てもらってください。 重篤な副作用 --- 服用するのをやめて、医師に診てもらってください。 ・胸痛、虚弱、息切れ、視覚障害、平衡感覚障害 ・血便(便が赤い、または黒い)、吐血、血痰、コーヒーの出がらしの様な嘔吐物 ・腫れ、体重増加 ・排尿困難(トイレの回数が減る、または全くなくなる) ・吐き気、嘔吐、胃痛、食欲低下、尿が濃くなる、粘土色の便、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる) ・しびれ、筋力の低下、アザ、激しい頭痛、寒気、けいれん、ひきつけ 重篤ではない副作用 ・胃がムカムカする、胸焼け、便秘、下痢、胃がふくれる、ガスがたまる ・皮膚のかゆみ ・頭痛、いらいらする ・耳鳴り ・目のかすみ これらのリストは代表的なものですべてではありません。副作用について質問があれば医師に相談してください。 (注意点) ・決められた用量を守ってください。 ・手術前後には服用しないで下さい。 ・過剰摂取は胃からの出血、穿孔(穴が開く)のリスクが高くなります。必要最小限の用量を使ってください ・他の薬を服用している方は使用前に必ず医師に相談してください。 ・Ibuprofen、Aspirin、Naprosyn(ナプロシン)などにアレルギー反応がある方は服用しないで下さい。 by Yoshiko Shirai 9-10 |
「脊柱側湾症 Scoliosis」 今回は、カイロプラクターらしく背骨の話をさせて頂きます。 あなたの背骨はまっすぐでしょうか? お子さんをお持ちの方は、お子さんの背骨を後ろからチェックされたことがあるでしょうか? 背骨が曲がっているか肉眼で分からなくとも、明らかに肩甲骨の周りの筋肉のトーンが右と左と違っていたりすることに気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。 背骨が右か左のどちらか(Cシェイプ)、または両方(Sシェイプ)に大きく湾曲している状態を、脊椎湾曲症、英語でScoliosis (スコリオーシス)と呼びます。私達は人間は、皆多少のゆがみはありますが、この場合は、レントゲンで撮った背骨の写真をある特定の方法で図って、その角度で判断されたものを差します。 側湾症には、いくつか種類があり、先天性のものと突発性のものとに大きく分けることが出来ます。 先天性側湾症は、生まれつき脊椎が変形していたり、成長段階で脊椎がうまく分裂しなかったりした為に起こるものです。 突発性の側湾症は、ほとんどの場合が原因不明であり、多くの場合は、幼少の頃にその症状が始まり、骨が成熟する10代半ば迄には湾曲症が形成されてしまうようで、治療のキーは早期発見にあるようです。背骨の曲がり方がある一定の角度以上になると、整形外科の先生の指導の元によりコルセットを処方されるお子さんもいらっしゃるようです。 もう一つ、注意しなければいけないのは、側湾症が病気の一サインである可能性もある、ということです。 神経線維腫症(Neurofibrometosis)、間葉性側湾症、筋原性側湾症など、注意を払わなくてはならないものもありますので、十分に注意を払ってください。 側湾症の方は、左右のバランスが違うため、腰痛や肩こりをお持ちの方も多いようです。 また、重度の場合には、脊柱が変形することにより、呼吸器系や循環器系の働きにまで障害を及ぼすこともあります。発見方法は、前屈みになって脊柱を視触診をすることが第一歩ですが、レントゲンを撮って確認することが確実です。 いずれにしろ、早期発見が重要なキーとなります。湾曲の角度が少ない場合には、理学療法・カイロプラクティック、湾曲が進んでいる場合には、整形外科の指導の元に、コルセット着用・手術、という手段もとられます。お子様をお持ちの皆さん、子供さんの背骨を少なくとも一年に一回はチェックすることをお勧めします。また、新学期が始まる時期になりましたが、重いバックパックの背負い方などに気を配ってみてはどうでしょうか? by Chie Uekihara, DC, MS 8-10 |