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生活にバランスを与える自然の旅

人にとって大切なのはバランスです。ベガスは究極の人工的な場所、刺激的で楽しいけど、やっぱり対極にある自然を求めます。どちらかではなくどちらも必要、そのバランスが人生を豊かにします。このコラムではベガスの対極にある自然の旅をご紹介します。



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「風のモニュメントバレー 2 」

いきなり少し話が脱線することを許して欲しい。ライアル・ワトソン(Lyall Watson)という、一
般的にはあまり有名とは言い難い一人の人物がいる。彼を肩書きで呼ぶことは難しく、植物学者、動物学者、生物学者、動物行動学者、人類学者、作家という多面性を持つ南アフリカ出身の白人だ。彼はその著作として「スーパーナチュラル」という本を代表する通り自然界で起こる超常現象などを科学的なバックボーンを駆使して論ずるとてもユニークな作品を数多く残している。その独特な切り口からある方面ではニューエイジムーブメントの一派とも云われているし、その作品郡は確かにそのように捉えられても仕方が無いが、私が捉える彼の主張はもっと根源的なものだと思っている。その主張していることの一つに、「人に意識があるように自然界の物質全てに多様な意識が存在する」 と信じていることだ。その思想は 地球を一つの生命体として捉える ガイヤセオリーにも、古い心理学であるユングの集合無意識の思想にも通じ、仏教やキリスト教の一派や風水などの民間思想にも通じる。記憶や意識は脳のある我々人間や動物だけが持つ特権ではなく、自然界の大地や岩、風や水、海、木々や植物にも記憶や意識はある、と展開する。実はこれは私が山での生活をしていた時にとても深く感じていたことだった。山の生活は、始めは全く判らないが時間経過と共に、森の木々や草花、水、川、霧、土、腐葉土、岩などがそれぞれのコミュニケーションスキルで何かを語っているように感じてくる。その意味するところまでをはっきりとは理解できないが、嬉しそうだったり、楽しそうな雰囲気や地球の意思のようなものを不思議と感じるようになってくる。それらは、私の勘違いや夢や何かの薬物による意識障害が原因ではなく、明らかに私の意識や感情とは違う、別な何かだ。彼はそれを語っている。


本題に戻ろう、この脱線話で私が言いたいのは、風に歴史や記憶、意識が存在すると感じるのは私だけの勝手な思い込みではなく、他にもそのように考える人や支持する人が存在する、ということだ。そして、私は多くの自然や山に深く身をおいてきたなかで、このモニュメントバレーの微かな重みのある風には、他の場所とは違う何らかの意識を素直に感じることができる、ということを伝えたい。

                                                                                                                                             3/10/14




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「風のモニュメントバレー 1 」

風が強いという意味でこのタイトルにした訳ではない。確かに土地柄的に強く風が吹く時もある。しかし、それ以上に、このモニュメントバレーには風がとても好く似合う。

どこまでも続く陽炎(かげろう)に溶け込んだ地平線、その手前には岩で出来た迫力ある巨大建造物が静かに佇(たたず)んでいる。見渡す限りそれ以外のものは何も無い。そして、その大地に、ただ、風が吹いているのだ。

その風は木枯らしのような憂うつな風ではなく、大草原を走る爽やな風でもなく、決闘シーンで見る緊迫し殺伐とした乾いた風でもない。

モニュメントバレーはユタ、アリゾナ、コロラド、ニューメキシコに隣接した砂漠地帯なため乾燥した気候であり、風ももちろん乾いている。にもかかわらず、ここの風には微かな、何かの重みがあるように感じる。その重みは秤(はかり)で量るような物質的な重みではなく、遠い昔の記憶のような微かな重みだ。`風がその大地の歴史を記憶している`のか `その大地に住む動物や人々の意識が風に乗っている`のか、とにかく何かの意識を感じずにはいられない。そして、この微かな重みのある風がこの広大な景色にはぴったり合うのだ、というよりはむしろ、この風がモニュメントバレー全体の、この広大な景色の雰囲気と意識を作り出しているといっても良い。

モニュメントバレーはラスベガスから約450マイル東に離れた場所に位置し、そこはもう少しでコロラドに手が届くというほどのアリゾナとユタの州境にある。

一般的にはラスベガスをI-15号線で北上、ユタ州のSt.Georgeを過ぎた辺りでUT-9(ユタ州道9号線)でHurricaneに向かい、Hurricaneの街を抜けた辺りでUT-59でLake Powel方面に向かう。このUT-59の曲がり角が少し分かり難いかもしれない。UT-59はその後アリゾナに入るとAZ-389と名を変えるがそのままひたすら道なりに進み、Fredoniaで道は終わる。Fredoniaから89号線を北上しKanabでもう一方の89号線は東に向きを変えPageに向かう。このPageはあのアンテロープキャニオンがある。Pageからは98号線、そして160号線と乗り継ぎ、Kayentaで163号線を取ればあの光景を目撃できる。ベガスから休憩含め約7-8時間の道のりだ。
  <つづく>

                                            1/14/14


「水が織りなすイリュージョン アンテロープキャニオン 1」

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アンテロープはとにかく美しい。そしてこれほど幻想的で魅惑的な美しさをもつキャニオン(渓谷)は世界に類を見ない。‘美しい’という表現を自然景観に対して使うとき、たいていは、木や森、湖や川など緑や水の瑞々しさを讃えて表現する際に使うだろう。このアリゾナの息も出来ないくらい暑く、乾ききった、瑞々しさのかけらもない砂漠のなかで、水や緑のあるオアシスを見て美しいと表現することはあるだろうが、岩盤を見て美しいと感じるところはおそらくこの場所以外あるまい。


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アンテロープキャニオン(Antelope Canyon) という言葉は、‘鉄砲水が流れる谷’という意味を持つ。そもそも、この場所は周囲のエリアで最も低い位置にあり、雨が降ると必ずこのキャニオンに流れ込む地形的特質を持つ。現在は雨の少ない時代にあるが、この渓谷が創られたとされる数万年前にはもう少し雨が多く、なおかつスコールのようなかなりまとまった雨が瞬時に大量の洪水となってこの地を走り、岩盤を削り、この峡谷が産み出されたとされる。ポイントは、瞬時に荒れ狂うほどの大量の鉄砲水が流れたということだ。常に水が流れていた川が作り出したものではない。この違いは極めて大きく、だからこそこの美しい芸術美が出来上がったのだ。 これは実際にこの峡谷に足を踏み入れれば納得頂けるに違いない。

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もちろん、これだけの理由ではこれほど美しい渓谷は産まれない。このエリアは、そもそも細かな砂岩状の地層が幾重にも堆積している地層を形成していること、そしてこの地層全体がこのアリゾナの地に特有の酸化鉄成分を多く含む赤い岩盤であること、渓谷と呼ばれてはいるがそこは洞窟のような峡谷なため天井のところどころから太陽の光が差し込み、峡谷内にその光が反射し合う。


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これら偶然が重なりあうことで、あのアンテロープ特有のオレンジ色に飾られた見事なまでの芸術的な曲線美がその姿を現すのだ。オレンジと一言で表現してしまったが実際にみると赤から黄色までの様々な色合いがこの洞窟内を彩る。そして、当然のことながらこの彩りもカメラでは全てを表現できない。写真でみるアンテロープももちろん美しい、だがそれ以上に実際に見るこの渓谷はカメラでは表現できない彩りに溢れている。このアンテロープは地球規模の偶然が重なり出来た地盤に、水がその芸術的意思を発揮し岩盤を削り、その意思に呼応した太陽が創り出した幻想的な芸術作品なのだ。





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Direction:
ラスベガスからI-15をNorth、2時間ほどでユタ州St.Georgeを越えたExit #16で降りUT-9でHurricaneに向かう。HurricaneからUT-59でKanabまで1時間30分、Kanabからは89号を1時間30分ほどでPage.AZ。Pageの街を越えたあたりで98号で東に入ったら10分ほどでアンテロープの看板が目に入る。アンテロープにはアッパーとロウワーと呼ばれる2箇所があるので注意したい。その違いについては後日詳しくご紹介したい。





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                                                                                                                                                                     4/11/13

「悠久と祈りの大地 セドナ」

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日本では数年前、芸能人がお忍び旅行に来た場所として名が広まり、近年特に癒し・スピリチュアルブームの追い風を受け、『聖地』として話題の地となっている。
しかし、ここセドナは、実は古くからアメリカ国内のみならず欧米など世界各国から多くの観光客が訪れる、全米の中でも屈指の世界的に有名な土地であることを知る人は少ない。

誰もが知るグランドキャニオンが年間470万人の観光客といわれるのに対し、セドナは年間400万人。その数字に驚きは隠せない。

つまり欧米の旅行者にとって、セドナはグランドキャニオンと変わらない人気があり、多くの旅行者はグランドキャニオンとセドナをセットで訪れている。その人気の理由は様々だが、特に住民の多くが経済的に余裕のあるリタイヤした方々なため、砂漠の中の高級リゾートとして受け止められている。中心街でのホテルのシーズンオンの値段は一部屋一泊$250-300が相場だし、週末はシーズンオフでも予約が取れないこともある。

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だが、ここセドナには単なる観光地だけではない、世界中の人々の意識を引き付けて止まない理由が確かに存在する。そのセドナの最大の特徴は、その地に降り立つ人々が事前に持っているセドナに対する期待をことごとく打ち破る刺激に違いない。この地に入った多くの人は口をそろえて云う 『セドナは絵や写真、人から伝え聞く以上に、はるかに人の想像を超えている』と。

そうなのだ。


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空気が澄んでいると伝え聞く以上にセドナの空気は澄み渡り

砂漠の地だと想像する以上に豊富な水と瑞々しい緑が広がっている

夕日に映える赤い山々は写真で見る以上にどこまでも赤くどこまでも静かに落日の時を刻んでいる


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セドナに事前のスケジュールはいらない。その時のインスピレーションや感覚でその瞬間の居場所を自分自身に許して欲しい。そんな型にはまらない自由な旅がセドナの過ごし方だと思う。


 


ベガスからセドナはサンタモニカとほぼ同じ距離だと思って差し支えない。サンタモニカの風を感じ飽きたら是非セドナに行って欲しい。R215→R515→93号でフーバーダムを越え、キングマンでI40を東へ。ルート66として有名なセリグマンを越え、フラッグスタッフから89Aで山道を下るとそこがセドナだ。山道が苦手な人はフラッグスタッフからI17を使い、179号線を北上するルートを取りたい。フラッグスタッフ周辺はアリゾナとはいえ標高2000m近い場所なため、冬は雪の心配があるので天気予報の情報はしっかり見て行きたい。


                                                                                                                                                                  2/11/13



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Koh Tanaka
長年、日本・アメリカのスキーリゾートでアバランチコントロールやレスキューなど現場業務を行い、その後リゾート施設の運営にも参加。一方で大自然が持つ人の心を根底から揺り動かす影響力を意識し、より広く、より多くの人にその感動を届けたいと日々活動を行っている。現在ラスベガス・セドナ発着の自然系ガイドを行い、地球との一体感を感じるジャーニー(旅)を提供している。

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